事業承継計画とは何かを考える

事業承継とは何だろうか?「事業」の「承継」に間違いはあるまい。

その計画をたてるのが事業承継計画なのだろう。しかし、その計画を立てることは、そう簡単ではない。承継すべき事業の中身が曖昧模糊としており、何を承継するのかが明らかではないからだ。

事業は、ヒト、モノ、カネ、といわれるが、「ヒト」の面だけ取りあげても、従業員・仕入れ業者・買ってくれる顧客・株主(中小企業の場合は親子、兄弟、親戚等その関係が濃密である)等、色々ある。これらの人間関係を引き継ぐのが事業承継なのだろうか、また会社の資産や負債を引き継ぐのが事業承継なのだろうか。

 

事業承継について書かれた書物をみると、事業承継計画書を作りなさい、と書いてある。家族関係、個人資産の状況、相続が起こった場合の相続人の問題などの現状を分析し、事業承継に備えるのが良いようだ。

中小企業庁発行の中小企業事業承継ハンドブックという冊子がある。そこには、Ⅰまずは知っておきたい事業承継対策のポイント、Ⅱ後継者の選び方・教育方法、Ⅲ後継者への経営権の集中方法、Ⅳ事業承継と民法<<遺留分>>、Ⅴ事業承継に必要な資金、Ⅵ事業承継と税金、などについて解説されている。

それらの書物に書かれていることは、いずれも一朝一夕にしてできることではない。事業というものは、毎日毎日変化している。成長もあり、退歩することもあるだろう。

事業承継というものを、静止的にとらえるのではなく、事業経営の一つとして、事業の承継ということがあると考えて、その対策を常日頃より考えるのが良い。事業承継計画も経営計画の一つとして考えなければならないのだ。すなわち、社長たる自分が死んだ時のことも考えて経営にあたる必要があるのである。